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脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れたりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり細胞が死ん |
でしまう病気で、脳への酸素供給が途切れる致命的な発作をいいます。 |
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脳卒中とは。。。 |
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前触れとして、一時的な半身のマヒや手足のしびれ、ものが二重に見える、ちょっとの間言葉が出て |
こなくなったりという症状が出たりすることがあります。脳卒中にかかると、感覚・言語・行動・思考パ |
ターン・記憶などに障害をきたします。突然激しい頭痛になったり、原因不明のめまい、急に倒れて |
意識がなくなったり、半身のマヒが起きたり、ろれつが回らなくなったりします。発作の後、寝たきりに |
なると使わない筋肉がこわばって動かなくなるという合併症も出ます。死亡することもある病気です。 |
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発作には4タイプ(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・一過性脳虚血発作)があり、原因も違います。 |
《脳梗塞》 |
動脈が閉塞して血行がとだえると、5分で神経細胞は死んでしまいます。これが脳梗塞です。脳梗 |
塞には脳血栓症と脳塞栓症の2種類があります。脳卒中死亡の60%以上を占めます。 |
・脳血栓症⇒脳血栓症は脳の動脈が動脈硬化によって、あたかも古い水道管のように内腔が狭く |
なり、高血圧や喫煙などを契機に血管がつまるものです。症状はある日突然、半身 |
の運動まひや感覚障害、あるいは失語症や半盲が発症します。小脳梗塞では運 |
動失調や、脳幹の梗塞ではめまいも起こります。通常は2〜3日で症状がピークを |
むかえ、その後はゆっくりと改善していきます。動脈硬化症をひき起こす高血圧、コ |
レステロール、糖尿病、喫煙の状態を把握することが大切です。 |
・脳塞栓症⇒心臓や頸部の動脈分岐部にできた血栓がはがれて血流に乗り、脳の動脈につまる |
ために起こります。心房細動という不整脈があると、心臓内に血栓ができます。 |
あとから何時何分に始まったといえるくらい、突然に発症します。症状は脳血栓症 |
と同じように半身の運動まひや感覚障害、あるいは失語症や半盲がみられます |
特に失語症の頻度が高く、運動まひのない失語症はまず脳塞栓症と考えて間違 |
いありません。けいれんを生じることも多く、また脳卒中の後遺症としてしばしば |
てんかんを残します。つまった血栓は2〜3日のうちにふたたび溶けて流れるよう |
になります。このとき死んだ脳組織にふたたび勢いよく血流が入り、出血したり強 |
烈にむくんで重症化します。多くは意識障害が急激に悪化します。 |
《脳出血》 |
脳出血は頭蓋内で脳の血管が破れ、勢いよく血液が出てくるものです。脳内出血と、くも膜下出 |
血に大別できます。 |
・脳内出血⇒脳内の細い動脈が破れ、強い勢いで血液が脳の中に流れ込むために脳が破壊さ |
れるものです。脳出血の際には血圧が200mmHgを超えることが多く、強い圧で |
血液がやわらかい脳組織に噴出し、その時点で脳が破壊されて出血が完成しま |
す。脳出血は活動時など血圧が上がっているときに生じることが多いのが特徴で |
す。小脳の出血では起立・歩行などの運動失調や平衝障害がみられます。 |
突然、右あるいは左に運動まひや感覚まひが生じ、多くの場合、意識障害を伴い |
ます。症状が進行性の場合には大出血となり、呼吸が停止します。脳出血では |
5年後生存率も低く、多くは肺炎や心筋梗塞などで亡くなります。脳卒中死亡の |
約25%が脳出血です。 |
・くも膜下出血⇒脳をおおっている3層の膜(内側から、軟膜、くも膜、硬膜)のうち、くも膜と軟膜 |
のあいだにある動脈瘤(動脈のこぶ)が血圧の上昇などで破れたものがくも膜 |
下出血です。膜と膜の間にあふれた血液が脳全体を圧迫します。 |
50歳以下のくも膜下出血は先天的な動脈瘤によることが多く、60歳以上の |
場合は動脈硬化症から動脈瘤が生じることが多いのが特徴です。 |
くも膜下出血の特徴は強い頭痛です。突然いままでに経験したことのないよう |
な頭痛が始まります。これに先だって、がくんと脱力発作を起こすこともありま |
す。痛みは始まると朝も晩も同じ強さで続きます。多くの場合にはただちに、 |
意識障害が進行し、1時間以内に呼吸がとまることもあります。くびはカチカチ |
にかたくなり、眼底には網膜の前に出血が認められます。破れた動脈は収縮 |
し、その結果、脳梗塞を併発することもあります。脳卒中死亡の10%強です。 |
《一過性脳虚血発作》 |
片まひ、失語症、半身のしびれなどの脳梗塞の症状があらわれ、それが24時間以内に完全 |
に消えるものを一過性脳虚血発作(TIA)と呼びます。TIAには2種類あります。1つは、内頸動 |
脈や中大脳動脈などの太い動脈に動脈硬化が起こり、脳血栓症の前触れとしてあらわれたも |
のです。もう1つは心房細動などで心臓内に小さな血栓ができ、それが流れて脳の動脈につま |
って症状を出したものです。これはじきに溶けて流れてしまうので、症状は一過性で終わります。 |
いずれにせよ大きな発作の前触れの可能性があり、慎重に検査をしなければなりません。 |
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脳梗塞を防ぐために。。。 |
脳卒中はなんといっても予防が肝心です。まず、脳の特性を知り、日ごろから脳を守り、日常の生活管理 |
で脳卒中の危険因子を避けましょう。 |
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●高血圧⇒年を取ると少しずつ動脈硬化が進んで行きますが、血圧が高いとそれが一層、促進され |
様々なタイプの脳卒中を引起します。高血圧によって脳の細かい血管が破れ脳梗塞を |
起こしたり、詰まって小さな梗塞が脳の深部に次々に出来やすくなります。 |
また、脳動脈瘤が出来やすくなり、それが破れるとくも膜下出血を引起します。 |
●高脂血症⇒コレステロールや中性脂肪などの油分が血液中に普通よりも多くなった状態を高脂血 |
症と言います。高脂血症から血管の内腔が狭くなったり、詰まったりして脳が必要とする |
十分な量の血液が送れなくなり脳梗塞を引き起こします。 |
●喫煙⇒タバコを吸うことによって一過性に血圧は下がりますが、跳ね返り現象として血管が収縮し |
て血圧はあがり、脈拍数も増えます。タバコを長期間、何本も吸うことによって動脈硬化 |
は促進されて詰まり、脳梗塞を起こしやすくなります。また血管も脆くなってくも膜下出血 |
を起こしやすくなります。 |
●糖尿病⇒糖尿病は先天的な原因または過食が原因で、このようなコントロールが出来なくなって |
血糖値が異常に高くなる病気です。糖尿病を放置すると、血管の内側にある内皮細胞 |
の障害が進んで動脈硬化が促進されます。 |
●肥満、ストレス⇒直接脳卒中に結びつくものではありませんが、肥満は糖尿病、高脂血症、高血 |
圧を助長させ、動脈硬化の危険因子です。ストレスは過食や深酒の原因となります。 |
●不規則な生活⇒寝不足や疲労は体力低下のもとになり、不規則な生活だけでなくストレス、寝不 |
足疲労は血圧を上げるホルモンを出しやすく、動脈硬化を進行させます。 |
●水分不足⇒水分が不足すると血液の濃度が濃くなり、かたまりやすくなります。ただし、糖分やカ |
ロリーを多く含んだジュースや中枢神経を刺激して血圧を上げるカフェイン(コーヒー、 |
紅茶)のとり過ぎは禁物です。 |
※心臓や腎臓に障害のある方の中には水分制限の必要な場合があります。 |
●熱いお風呂⇒42℃以上の熱いお湯は入浴後直ちに血圧が上昇します。また、入浴後に脱衣室が |
冷え切っていると温まった体が熱の放散を防ごうとして血管が収縮し、血圧が上昇しま |
す。このような血圧の急激な変化が脳卒中発症の一因になります。 |
●便秘⇒排便時の怒責(きばること)は想像以上に血圧の上昇や脈拍の上昇になります。この怒責 |
時に血圧が急激に上昇し、脳出血や心筋梗塞などの発作の原因となります。 |
●過剰飲酒⇒アルコールは脳血管を収縮させます。毎日1.5合以上飲酒すると、飲まない人に比 |
べ3倍以上脳出血が発症しやすいといわれます。飲酒量が多いほど高血圧になりやす |
くアルコールを分解するときに体内の水分が失われるために脱水になりやすいです。 |
●タバコ⇒ご存知のようにニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質が含まれています。 |
たばこを吸うと血液がねばねばになり、酸素を運びにくい状態にします。また、血圧を上 |
げる・動脈硬化を促進する・ガンになりやすい・低酸素をまねくなど悪影響だらけです。 |
●遺伝⇒脳卒中はいくつもの因子が重なって発症するものです。脳卒中自体が遺伝するものではあ |
りませんが、その危険因子のいくつかが遺伝するため、脳卒中が同じ家系内に多く発 |
生する傾向があります。両親やおじさん、おばさんなど親戚に脳卒中患者が出ている人 |
の場合はそうでない人よりも脳卒中になる確率は高くなります。 |
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